ぐりーんている
管理画面
カレンダー
08
2024/09
10
S
M
T
W
T
F
S
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
カテゴリー
未選択 ( 6 )
オフレポ ( 9 )
萌え語り ( 4 )
日常 ( 1 )
読書感想文 ( 5 )
小話 ( 7 )
企画 ( 25 )
アニメ感想 ( 1 )
講座 ( 5 )
映画感想 ( 1 )
旅行 ( 0 )
お題 ( 5 )
フリーエリア
最新コメント
最新記事
続・『BABEL』プレイ記録
(11/02)
『BABEL』プレイ記録
(10/29)
人間機械 Volume 0 『穏やかな暮らし』感想
(05/13)
浴槽で出来る74の提案
(04/09)
こんな15の夢を見た
(04/09)
最新トラックバック
プロフィール
性別:
非公開
バーコード
RSS
RSS 0.91
RSS 1.0
RSS 2.0
ブログ内検索
アーカイブ
2017 年 11 月 ( 1 )
2017 年 10 月 ( 1 )
2017 年 05 月 ( 1 )
2016 年 04 月 ( 2 )
2015 年 01 月 ( 1 )
最古記事
てすと
(10/09)
愉快なオフレポそのいち
(10/10)
愉快なオフレポそのに
(10/10)
愉快なオフレポそのさん
(10/10)
ゆめ
(10/14)
P R
[
44
] [
43
] [
42
] [
41
] [
40
] [39] [
38
] [
37
] [
36
] [
35
] [
34
]
2024.09.21
[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2024/09/21 (Sat)
2013.04.04
22.三日月の調べ/11.メメント・モリ
夜空に、切り傷のような月が浮かんでいる。 雲がかかり、星は見えない。夜の海。寄せては返す、波の音が、怪物の唸り声みたい。蠢く、真っ黒い水平線。昼間は透き通った青だったなんて、とても信じられない。岸辺は見えない。首をぐるりと回さないと、見えない。視界はほとんど黒い海。そして三日月。風はない。凪いでいる。そら恐ろしい風景だと思った。残酷な風景だ、と。
月の道が伸びている。いや、錯覚だろう。満月ならば、その月明かりを水面が反射して、道のようになることはあるけれど、いまは三日月。私だけの錯覚。
あの三日月から、旋律が聴こえてきている気がする。耳を澄ませ。微かな旋律。爪弾く。途切れ途切れの。美しい音色。知っている音。知っているメロディー。不意に、鮮明に、目蓋の裏に彼の指先が浮かんだ。目を閉じて、魔法のように。爪弾く。金色の琴。そうだ、あれは竪琴の音色だ。
私は海へと足を踏み出した。冷たい。纏わりつく黒い海水。足の裏に、寄せて返す砂の感触。足首。膝。太股。腰。ざぷん。ざぷん。躊躇いなく入っていく。白いワンピースの裾が海中でふわりと漂っている。
怖くはなかった。彼の音色が導いてくれる。真正面の目上に浮かぶ、あの三日月を目指した。
神話の世界では、竪琴の青年が恋人を黄泉の国に迎えに行くと言うが、私は逆だ。それに決して、振り返ったりはしない。想いは全て、置いて来た。
撫でるような優しい旋律。私の好きだった曲。子守唄にいつも弾いてくれた。ゆっくりと、印象的で、短い小節を繰り返すだけだけど、とても好きで。泣いてしまいそうになる。もう一度隣で聴きたい。彼の憂いを帯びた微笑が、見たい。
ふつっ…
突然旋律が途切れて、私は立ち止まる。耳を澄ませるまでもなく辺りは音を失っている。どうして? 私は見上げる。その夜空に、切り傷がどこにもない。流れる、厚い雲に覆われて、見えなくなってしまった。私は口元を抑えた。嗚咽が漏れる。泣いた。泣いて、泣いて、枯れるまで泣いて、海の水かさが増した。
「だめだよ」
そう、言われているような気がした。彼に。それが、つらかった。迎えに行かせてよ。どうか。きっと、連れ帰ってみせるから。
[0回]
PR
2013/04/04 (Thu)
企画
Comment(0)
お名前
タイトル
文字色
Black
Green
SeaGreen
Teal
FireBrick
Tomato
IndianRed
Sienna
Blue
Royalblue
DarkSlateBlue
Purple
Palevioletred
DeepPink
DarkOrange
DimGray
URL
コメント
パスワード
非公開コメント
忍者ブログ
[PR]
graphics by
アンの小箱
* designed by
Anne